2021.12.24
研究開発

オプジーボ®点滴静注、原発不明がんに対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、小野薬品が、ヒト型抗ヒト PD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、原発不明がんに対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認取得は、近畿大学病院の主導の下、原発不明がんを対象にオプジーボを評価した医師主導治験(NivoCUP試験)の結果に基づいています。本試験において、主要評価項目である化学療法既治療例における奏効率(中央判定)は22.2%(95%信頼区間:11.2-37. 1)であり、信頼区間の下限値が事前に設定した閾値奏効率5%を超えたことから、本試験の主要評価項目を達成しました。また、治療歴の有無を問わない全体集団における奏効率(中央判定)は21.4%(95%信頼区間:11.6-34.4)であり、治療歴を問わずオプジーボの抗腫瘍効果が示されました 1)

 原発不明がんは、十分な検索にも関わらず原発巣が不明で、組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍と定義されています 2)。原発不明がんは診断時に既に進行・転移している病態であり、複数臓器に転移が認められる患者が全体の半数以上を占め 3)、生存期間の中央値は6~9カ月 4)、5年生存率は2~6% 5), 6)と極めて予後が悪く、生命に重大な影響がある重篤な疾患とされます。
 原発不明がんの国内の患者数は約3,000~13,680人と推定されており 7), 8)、推定される原発巣に準じた特異的な治療の適応となる予後良好群と、治療法が確立されていない予後不良群(原発不明がんの80%)に大別されます 2)。この予後不良群に対する治療は薬物療法が主体となりますが、原発不明がんに対して国内外で承認された薬剤はありませんでした。
 今回の承認により、オプジーボが原発不明がんに対する新たな治療選択肢の一つになるものと期待しています。
 なお、オプジーボは、厚生労働省より、2021年3月11日、原発不明がんを効能又は効果とする希少疾病用医薬品に指定されました。

参考文献:

  • Tanizaki J et al. Ann Oncol. 2021;S0923-7534(21)04824-9.
  • 日本臨床腫瘍学会編. 原発不明がん診療ガイドライン 改訂第2版. 2018.
  • Seve P et al. Cancer. 2006;107:2698-705.
  • Pavlidis N et al. Eur J Cancer. 2003;39:1990-2005.
  • Greager JA et al. J Surg Oncol. 1983;23:73-6.
  • Altman E et al. Cancer. 1986;57:120-4.
  • 厚生労働省. 平成29年患者調査. 2019.
  • 厚生労働省健康局がん・疾病対策課. 平成29年 全国がん登録罹患数・率報告. 2020.

NivoCUP試験について

 本試験は、化学療法既治療又は未治療の原発不明がん患者(予後不良群)を対象に、オプジーボの有効性及び安全性を検討することを目的として近畿大学病院を中心に実施された医師主導による非盲検第Ⅱ相臨床試験です。本試験の主要評価項目は、化学療法既治療例における奏効率(中央判定)です。副次評価項目は、奏効率(治療歴を問わない全体集団)、全生存期間、無増悪生存期間等です。

オプジーボ®点滴静注の概要

製品名 オプジーボ®点滴静注 20mg、同100mg、同120mg、同240mg
一般名(JAN) ニボルマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果
  • 悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • 切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌
  • がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌
  • 食道癌における術後補助療法
  • 原発不明癌
用法及び用量 〈悪性黒色腫〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。
根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。

〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
カボザンチニブと併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1 回240mgを2 週間間隔又は1 回480mg を4 週間間隔で点滴静注する。
化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
通常、小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる。

〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、原発不明癌
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。

〈がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌、食道癌における術後補助療法〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、食道癌における術後補助療法の場合は、投与期間は12カ月間までとする。
製造販売 小野薬品工業株式会社
プロモーション提携 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、小野薬品が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、および2021年12月に「原発不明癌」の承認を取得しました。
 また、尿路上皮がんの効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。