監修:徳島大学 藤井節郎記念医科学センター 顧問 松本俊夫先生

●治療や心がけること

@薬の服用
薬は「骨の破壊を抑える薬」「骨の形成を促す薬」「骨の材料を補う薬」の3種類に分けられます。
骨折の危険性が高い場合は、主に「骨の破壊を抑える薬剤」を使用します。
またいくつかの薬を組み合わせて治療することもあります。 骨粗しょう症の薬は、安全でしっかりと効き目が出るように飲み方が決まっています。
いっしょに服用してはいけない薬や、飲んだ後に食事をしてはいけない場合もあります。
必ず医師や薬剤師の指示通りに服用することを心がけましょう。


骨の破壊を抑える薬

ビスホスホネート剤
特長:骨からカルシウムが溶け出すの(骨吸収)を抑制し、骨密度を増加させ、さらに脊椎や太ももの骨の骨折の発生率を減少させます。腰や背中の痛みを経減するものもあります。現在、骨粗しょう症治療の第一選択薬です。1日1回服用するものと週に1回、4週(1月)に1回服用するものがあります。また、注射剤やゼリー剤もあります。
注意点:副作用として胃腸障害があります。のみ薬は朝食前に服用し、服用後30分もしくは60分は横にならないことや飲食を控えるなど服用する際には注意が必要です。また、ごくまれに顎骨壊死・顎骨骨髓炎*を起こしたりすることがあります。


選択的エストロゲン受容体作働薬(SERM)
特長:骨など、体の特定の部位でのみ「エストロゲン」と似た働きをし、骨吸収を抑制し、骨密度を増加させます。
注意点:副作用として更年期症状を悪化させたり、まれに深部静脈血栓症などが起こることがあります。


抗RANKL(ランクル)抗体製剤
特長:RANKL(ランクル)というたんぱく質(骨からカルシウムが溶け出す[骨吸収]際に働く細胞の活性化に必要)の作用を抑制することで、骨密度を増加させ、骨粗しょう症に伴う骨折を減少させます。6か月に1回皮下注射するお薬です。
注意点:血中のカルシウムが低くなりすぎて、手足のふるえ、筋肉の脱力、けいれん、しびれが起こることがあります。また、ごくまれに顎骨壊死・顎骨骨髓炎*を起こしたりすることがあります。


カルシトニン剤
特長:破骨細胞を抑制し骨量減少を抑えます。また脳内で鎮痛物質に変わるため鎮痛効果があります。
注意点:筋肉注射のため通院治療が必要です。副作用は、顔面紅潮、悪心などが知られています。

*顎骨壊死、顎骨骨髓炎では、歯の治療や感染がきっかけであごの骨に炎症が起こり、腐ったような状態になります。この骨の痛みや腫れ、骨が露出する、膿が出る、歯が抜ける、といった症状が現れてきます。


骨の形成を促す薬

ヒト副甲状腺ホルモン剤
特長:骨組織は、「破骨細胞」が古くなった骨を溶かし(骨吸収)、そこに「骨芽細胞」が新しい骨を作って修復する(骨形成)というサイクルを繰り返して、骨の構造や強度を保っています。骨形成促進剤は、骨芽細胞の数を増やし骨形成を促進することで、骨の量を増やし骨を強くして、骨折リスクを減らすことができます。
注意点:皮下投与する注射剤です。骨折リスクの高い重症の骨粗しょう症患者さんに適応があります。


骨の材料を補う薬

カルシウム剤
特長:食事でのカルシウム摂取不足、乳糖不耐症、胃腸の手術後などに使用されます。他剤と併用することが多いです。
注意点:骨折の危険性が高い場合には、カルシウムだけの治療では十分ではありません。副作用として、胃腸障害や便秘が現れることがあります。


活性型ビタミンD3
特長:腸でのカルシウム吸収を促進させ、骨量低下を抑制し骨折頻度を低下させます。筋力低下を防ぐため、転倒予防効果も注目されています。カルシウム摂取不足、胃腸の手術後などの患者さんに使用されます。
注意点:副作用として高カルシウム血症があります。特にカルシウム剤を併用している場合は注意が必要です。


ビタミンK2
特長:骨の形成を助け骨折を予防します。骨形成が低下している高齢者に適しています。
注意点:血液凝固阻止剤のワルファリンとの併用は、ワルファリンの効果を弱めるため、併用しないでください。

年齢とともに骨をつくるより壊すスピードの方が早くなっていくのは生理的な現象です。
食事、運動、日光浴、お薬やサプリメントなどを上手に取り入れ、「つくる」と「壊す」のバランスを整えまししょう。


食事はバランスよく摂りましょう!
特にカルシウムとビタミンDは積極的に摂ることが勧められます。骨粗しょう症患者さんに必要な1日の摂取量は、カルシウムが800mg、ビタミンDが400〜800IU、ビタミンKが250〜300μgとされています。

食事だけでは摂取量が不足している場合には、カルシウムやビタミンなどのサプリメントも利用してください。
( )内は、各食品のカルシウム含有量

日光浴をしましょう!
カルシウムの吸収を高めるビタミンDは、
日光浴によって皮膚でもつくられます。
夏は木陰で30分、冬は手や顔に1時間程度を目安にしましょう。
またガラスは紫外線をあまり通さないため、窓越しより屋外が勧められます。
屋内で過ごしがちな人は、食事での摂取を心がけましょう。

適度な運動を心がけましょう!
運動で骨に力がかかると骨をつくる細胞の働きを活発にします。さらに運動によって筋肉がきたえられ、身のこなしがよくなって、転びにくくなり骨折の防止につながります。日常生活に軽い運動を取り入れたり、体を使った家事をこまめにするなど活動的に過ごすよう心がけることが大切です。


中高年に向いた運動
・テニス ・ゴルフ
・水泳:週2回 30分程度
・社交ダンス
・自転車:1時間程度
・バドミントン ・卓球 など

 

高齢者に向いた運動
・散歩:1日30分 2km程度
・体操 ・太極拳 ・ヨガ ・ゲートボール
・水中歩行:週2回 30分程度 など

太ももの筋肉を鍛える運動