2022.03.07
研究開発

米国食品医薬品局が、切除可能な非小細胞肺がんの特定の成人患者の術前補助療法として、化学療法との併用療法によるオプジーボ®を承認

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2022年3月4日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2022年3月4日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

米国食品医薬品局が、切除可能な非小細胞肺がんの特定の成人患者の術前補助療法として、化学療法との併用療法によるオプジーボ®を承認

  • 本承認は、最初で唯一の免疫療法薬による非小細胞肺がんの術前補助療法となります 1
  • 第Ⅲ相CheckMate -816試験において、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法は、プラチナ製剤を含む化学療法2剤のみと比較して、無イベント生存期間および病理学的完全奏効を有意に改善しました 1
  • オプジーボを含む併用療法は、転移性および早期の非小細胞肺がんの治療薬として承認されています。

 (ニュージャージー州プリンストン、2022年3月4日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、切除可能(腫瘍4 cm以上もしくはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者の術前補助療法として、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)360 mg(点滴静注)とプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与する併用療法を承認したことを発表しました 1。オプジーボと化学療法の併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらず、承認されています 1。切除可能なNSCLCの術前補助療法として、免疫療法薬を含む併用療法による最初の肯定的な第Ⅲ相試験であるCheckMate -816試験に基づいています。主要評価項目は、盲検下独立評価による無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)等で、その他の有効性の評価項目は全生存期間(OS)でした 1。本試験では、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法群(179例)をプラチナ製剤を含む化学療法単独2剤群(179例)と比較評価しました 1
 本試験において、オプジーボと化学療法の併用療法群による術前補助療法は、化学療法単独群と比較して、統計学的に有意なEFSの改善を示し、病勢進行、再発または死亡のリスクを37%低減しました(ハザード比 [HR] 0.63;95% 信頼区間 [CI]:0.45 - 0.87;P=0.0052) 1。EFSの中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で31.6カ月(95% CI:30.2 - 未達 [NR])、化学療法単独群では20.8カ月でした(95% CI:14.0 - 26.7) 1。また、pCR率は、オプジーボと化学療法の併用療法群で24%(95% CI:18.0 - 31.0)、化学療法単独群では2.2%(95% CI:0.6 - 5.6;推定治療差21.6; 95%CI:15.1 - 28.2; P <0.0001)でした 1 。予め計画されたOSの中間解析の結果、HRは0.57(95%CI:0.38 - 0.87)であり、統計学的な有意性の境界を超えませんでした 1
 CheckMate -816試験の治験担当医師であり、ダナ・ファーバーがん研究所の胸部腫瘍Loweセンター臨床部長であるMark Awad(M.D.、Ph.D)は、次のように述べています。「切除可能なNSCLC患者さんは再発率が高く、術前の使用によって手術による治療の成功率を高め、再発リスクを抑えるという目標を支援する新たな治療選択肢が必要とされています 2,3。プラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法によるオプジーボの承認は、切除可能なNSCLCの治療における転換点です。この承認により、手術前の患者さんの術前補助療法として免疫療法薬と化学療法の併用療法の使用が可能になります。本日の発表は、NSCLCスクリーニングと早期発見率を高め、患者さんが医療提供者と治療選択肢を相談する必要性を高めるものです 1。」
 オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:重度かつ致死的な免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎および免疫介在性肝毒性、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性皮膚関連副作用、腎機能障害を伴う免疫介在性腎炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対照試験以外では推奨されません)の死亡率の増加 1。詳細は「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。
 ブリストル マイヤーズ スクイブの心血管疾患・免疫疾患・がん米国担当のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのAdam Lenkowskyは、次のように述べています。「ブリストル マイヤーズ スクイブは、がんの早期段階における免疫療法薬の使用において革新的なサイエンスをリードしており、患者さんにこれらの選択肢をお届けすべく注力しています。本日の承認は、そのような私たちのコミットメントを裏付けるとともに、オプジーボを含む治療法が肺がんで最も多い型のNSCLCに果たす役割を拡大し、より早期の段階でベネフィットを得られる可能性を患者さんにもたらします 1,4。」
 今回の申請は、一刻も早く安全かつ有効な治療薬を患者さんにお届けすることを目的とするFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で承認されました 5。審査は、オーストラリア、カナダおよびイギリスの保健当局による同時審査が可能であるFDAのProject Orbisイニシアチブの下でも実施されており、現在もこれらの国では審査が継続しています。第Ⅲ相CheckMate -816試験のEFSデータは、4月に開催される2022年米国癌学会 年次総会で発表されます。

CheckMate -816試験について

 CheckMate -816試験は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能な非小細胞肺がん成人患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法を化学療法単独と比較評価した無作為化非盲検試験です 1。試験には、組織学的に確認されたステージⅠb(腫瘍4 cm以上)、ⅡまたはⅢaのNSCLC(米国がん合同委員会/国際対がん連合 [AJCC/UICC] 病期分類第7版による)、ECOG Performance Status 0または1、および測定可能病変(RECIST v1.1による)を有する患者が含まれした 1。切除不能または転移性NSCLC、既知のEGFR転移またはALK転座、グレード2以上の末梢神経障害、活動性自己免疫疾患または全身免疫抑制療法を要する疾患を有する患者は、本試験から除外されました 1。主要解析には、患者358例がオプジーボ360 mgと組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤を同日に3週間間隔で最大3回投与する群、またはプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で最大3回投与する群のいずれかに無作為に割り付けられ、その後、手術が施行されました 1
 本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価によるEFSおよび盲検下独立病理判定(BIPR)の評価によるpCRでした 1。EFSは、無作為化の時点から以下のイベント(手術を妨げる病勢進行、病勢進行、手術後の再発、または死因を問わない死亡)が発生するまでの期間と定義されました 1。また、pCRは、BIPRの評価により、原発腫瘍および採取されたリンパ節の両方における生存腫瘍細胞の残存が0%と定義されました 1。有効性の評価項目にはOSが含まれました 1

CheckMate -816試験における安全性プロファイルの抜粋

 副作用により、患者の10%がオプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法の投与を中止し、患者の30%が1回以上投与を見送りました 1。重篤な副作用が、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法群の30%で発現しました 1。患者の2%以上に報告された重篤な副作用は、肺炎および嘔吐でした 1。オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法を受けた患者では、致命的な副作用は発生しませんでした 1。最も多く(20%以上)報告された副作用は、悪心(38%)、便秘(34%)、疲労(26%)、食欲減退(20%)および発疹(20%)でした 1

肺がんについて

 肺がんは、米国でがんによる死因の第1位となっています 4。肺がんは、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます 4。非小細胞肺がん(NSCLC)は、肺がんの中で最も一般的な型であり、診断の最大84%を占めています 4。切除可能なNSCLCに対する現在の標準治療は手術(切除)であり、NSCLC患者の多くが手術を受けるものの、30%~55%が再発し、切除したにもかかわらずがんで亡くなられます 2,3

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

オプジーボの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボと化学療法の併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功する可能性、販売承認が得られた場合にその使用が著しく制限される可能性、および本プレスリリースに記載された追加の適応症でのそのような併用療法の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2021年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

参考文献

  1. Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last Updated: March 2022. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
  2. Uramoto H, Tanaka F. Recurrence after surgery in patients with NSCLC. Translational Lung Cancer Research. 2014;3(4).
  3. Sekihara K, Hishida T, Yoshida J, et al. Long-term survival outcome after postoperative recurrence of non-small-cell lung cancer: who is “cured” from postoperative recurrence? European Journal of Cardio-Thoracic Surgery. 2017;52(3):522-528.
  4. American Cancer Society. Key Statistics for Lung Cancer. https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/key-statistics.html . Accessed February 16, 2022.
  5. U.S. Food and Drug Administration. Real-Time Oncology Review Pilot Program. https://www.fda.gov/about-fda/oncology-center-excellence/real-time-oncology-review . Accessed February 16, 2022.