2022.02.21
研究開発

ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤「ベレキシブル®錠 80mg」 台湾において「再発又は難治性のB細胞性中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果の承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ブルトン型チロシンキナーゼ(以下、BTK)阻害剤である「ベレキシブル®(一般名:チラブルチニブ塩酸塩)錠80mg」(以下、ベレキシブル)について、2月18日に、「再発又は難治性のB細胞性中枢神経系原発リンパ腫」の成人患者に対する効能又は効果で、台湾食品薬物管理局(TFDA)から迅速承認を取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者を対象にベレキシブルの有効性および安全性を評価した日本での多施設共同非盲検非対照第Ⅰ/Ⅱ相試験(ONO-4059-02)の結果に基づいています。本試験では、今回、承認された用法及び用量である480 mg(空腹時)投与群において、主要評価項目である中央判定による全奏効率(ORR)は52.9%(9/17例)でした。グレード3~4の主な副作用は、好中球減少、白血球減少および高トリグリセリド血症で、各々11.8%(2/17例)に認められました。

 この承認により、ベレキシブルは、標準治療が確立していない再発又は難治性のB細胞性PCNSLの成人患者の治療薬として台湾で初めて承認されたBTK阻害剤となります。

ONO-4059-02試験について

 本試験は、再発又は難治性のPCNSL患者を対象に、ベレキシブル単剤投与の有効性および安全性を評価した日本での多施設共同非盲検非対照第Ⅰ/Ⅱ相試験です。本試験では、患者44例が登録され、ベレキシブル 320 mg(20例)、480 mg(7例)および空腹時480 mg(17例)が、いずれも1日1回、経口投与されました。投与は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続されました。本試験の主要評価項目は、中央判定によるORRです。

中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)について

 PCNSLは、初発時に病変が脳脊髄(眼を含む)に局在する悪性リンパ腫です。PCNSL患者が呈する徴候および症状は病変部位により異なり、局所神経障害、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがあります。
 現在、未治療PCNSL患者には高用量メトトレキサート療法を基盤とする薬物療法およびその後の全脳放射線療法が行われており、一部の患者集団で長期寛解するものの、多くの患者は再発に至ります。また、初回治療が奏効しない難治性患者も存在します。これまで再発又は難治性のPCNSL患者に対しては標準治療が確立されておらず、治療選択肢は限定的であり、新たな治療薬が望まれていました。

ベレキシブルについて

 ベレキシブルは、選択性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。B細胞受容体(以下、BCR)シグナル伝達は、B細胞系リンパ球細胞の生存、活性化、増殖、成熟および分化に関する中心的役割を担っており、特にB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)および慢性リンパ性白血病(CLL)では、BCRシグナル伝達経路が恒常的に活性化していることが知られています。ベレキシブルは、BCRの下流に位置するメディエーターであるBTKを阻害することから治療効果が期待されます。
 日本において、当社は2020年3月に「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果でベレキシブルの製造販売承認を受け、2020年5月に本剤を発売しました。その後、2020年8月に「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」の効能又は効果で追加承認を取得しました。がん領域以外では、天疱瘡(第Ⅱ相試験)および全身性強皮症(第Ⅰ相試験)を対象とした臨床試験を実施しています。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は、台湾での自社販売体制を構築し、2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。