2022.01.25
研究開発

OPDIVO® 20mg、100mg Inj. 台湾においてベバシズマブと化学療法との併用療法による進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺がんのファーストライン治療に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)20mg、100mg Inj.」(以下、オプジーボ)について、1月18日に、ベバシズマブと化学療法との併用療法による「EGFRまたはALK遺伝子変異陰性の進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺がんのファーストライン治療」に対する効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、化学療法未治療の根治照射不能なⅢB/Ⅳ期又は再発の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、オプジーボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(オプジーボ併用療法群)をプラセボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(対照併用療法群)と比較評価した第Ⅲ相 TASUKI-52 試験(ONO-4538-52)の結果に基づいています。本試験の中間解析において、オプジーボ併用療法群は対照併用療法群と比較して、主要評価項目である独立画像判定委員会の判定に基づく無増悪全生存期間(PFS)で統計学的に有意な延長を示しました。

TASUKI-52 試験(ONO-4538-52)について

 TASUKI-52 試験は、化学療法未治療の根治照射不能なⅢB/Ⅳ期又は再発の非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象に、オプジーボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(オプジーボ併用療法群)をプラセボ、ベバシズマブと化学療法の併用療法群(対照併用療法群)と比較評価した多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検第Ⅲ相試験(ONO-4538-52)です。オプジーボ併用療法群の患者には、オプジーボ 360 mg、カルボプラチン血中濃度曲線下面積(AUC)6、パクリタキセル 200 mg/m2およびベバシズマブ 15 mg/kg を3週間1サイクルとして投与し、対照併用療法群の患者には、プラセボ、カルボプラチン AUC 6、パクリタキセル 200 mg/m2およびベバシズマブ 15 mg/kg を 3 週間1サイクルとして投与しました。両群ともカルボプラチンおよびパクリタキセルは4サイクルまで投与し、安全に投与を継続することが可能と判断された場合は最大6サイクルまで投与継続可能としました。その後、オプジーボ併用療法群ではオプジーボおよびベバシズマブの投与を、対照併用療法群ではプラセボおよびベバシズマブの投与を疾患進行又は忍容できない毒性が確認されるまで継続しました。本試験の主要評価項目は、独立画像判定委員会の評価に基づく無増悪全生存期間(PFS)です。主な副次評価項目は、全生存期間(OS)、実施医療機関の医師判定に基づく PFS および奏効率(ORR)です。

肺がんについて

 肺がんは、気管、気管支および肺胞の細胞が悪性化した腫瘍であると考えられています。肺がんは、組織型によって小細胞肺がんと非小細胞肺がん(NSCLC)の 2 種類に分類されます。 NSCLCは、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、肺がんの約80 - 85%を占めています 1)。さらに、NSCLCは腺がん(肺がんの40%)、扁平上皮がん(同25%)、大細胞がん(同10%)等に分類されます 2)。台湾では、年間で約1.5万人 3)が新たに肺がんと診断され、肺がんによる死亡者数は、年間で約9千人 3)と 推定されており、がんによる死亡原因の第1位となっています 。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。転移性肺がんと診断された患者の5 年生存率は約5%です。

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、および2021年12月に「原発不明癌」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、尿路上皮がんの効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、以下、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は台湾での自社販売体制を構築し、2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。