2021.10.20
研究開発

OPDIVO® 20mg、100mg Inj. 台湾において化学療法との併用療法による胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんに対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)20mg、100mg Inj.」(以下、オプジーボ)について、10月14日に、PD-L1発現率にかかわらず、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法によるHER2過剰発現を伴わない進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、未治療のヒト上皮細胞増殖因子受容体2型(HER2)陽性以外の進行または転移性胃がん(GC)、胃食道接合部がん(GEJC)および食道腺がん(EAC)患者を対象に、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相CheckMate -649試験の結果に基づいています。本試験では、割り付けられた全ての患者およびcombined positive score(CPS)が5以上のPD-L1陽性患者の両方において、オプジーボと化学療法の併用療法が、化学療法と比較して、全生存期間(OS)で統計学的に有意な改善を示しました。オプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された個々の治療のものと一貫していました。

CheckMate -649試験について

 CheckMate -649試験は、未治療のHER2陽性以外の進行または転移性GC、GEJCおよびEAC患者を対象に、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。オプジーボと化学療法の併用療法群の患者は、オプジーボ240 mgと5-フルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(FOLFOX)を2週間間隔、もしくはオプジーボ360 mgとカペシタビンおよびオキサリプラチン(CapeOX)を3週間間隔で投与を受けました。化学療法群の患者は、FOLFOXを2週間間隔、もしくはCapeOXを3週間間隔で投与を受けました。投与は、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、または患者が同意を撤回するまで、最長2年間継続されました。本試験の主要評価項目は、CPSが5以上のPD-L1陽性患者におけるOSおよび盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価によるPFSです。主な副次評価項目は、CPSが1以上のPD-L1陽性患者および割り付けられた全ての患者におけるOSおよびPFS、ならびにCPSが1以上および 5以上のPD-L1陽性患者と割り付けられた全ての患者におけるBICRの評価による奏効率(ORR)でした。

胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんについて

  • 胃がんは、台湾では年間約3,800人が新たに診断されており、胃がんによる死亡者数は、年間約2,300人と推定されています 1。食道と胃がつながる消化管領域である胃食道接合部に発生するがん腫など、複数のがんを胃がんとして分類することができます。台湾では、HER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する一次化学療法の標準治療は過去10年間ほとんど進展がなく、本疾患の患者さんに新しい治療選択肢が必要とされています。
  • 食道がんは、台湾では年間約2,800人が新たに診断され、年間約1,900人が亡くなられています 1。食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜から発生する悪性腫瘍で、大きくなると深層(外側)に向かって増殖します。食道がんは主に扁平上皮がんと腺がんの二つの組織型に分類され、台湾では、扁平上皮がんが食道がんの約90%を占めています 1
  1. 中華民国107年(2018年)癌症登記報告

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、および2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」の承認を取得しました。
 また、尿路上皮がんおよび原発不明がんについて、効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市)は、2014年12月に当社の100%出資の現地法人として設立されました。オプジーボをはじめとする抗がん剤などの一部のスペシャリティー製品について自社販売を行っています。台湾市場において、当社製品のさらなる浸透に努め、自社で生み出した製品の開発、販売に取り組んでいます。