2021.09.08
研究開発

OPDIVO® 20mg、100mg Inj.台湾においてヤーボイとの併用療法による「切除不能な悪性胸膜中皮腫」のファーストライン治療に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)20mg、100mg Inj.」(以下、オプジーボ)について、9月3日にヤーボイ®(一般名:イピリムマブ) *との併用療法による「切除不能な悪性胸膜中皮腫」の成人患者のファーストライン治療の効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

  • ヤーボイは、ヒト型抗ヒト cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4(CTLA-4)モノクローナル抗体です。

 今回の承認は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法をプラチナ製剤を含む標準治療の化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験(CheckMate -743 試験)であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づいています。本解析において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、化学療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を達成しました。本試験で認められたオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、本併用療法でこれまでに認められているものと一貫していました。

CheckMate -743試験について

 CheckMate -743試験は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者(n=605)を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。本試験では、患者303例がオプジーボ3 mg/kgを2週間間隔で、ヤーボイ1 mg/kgを6週間間隔で、最長24カ月間投与する群、または患者302例がシスプラチン75 mg/㎡またはカルボプラチン血中濃度曲線下面積(AUC 5)とペメトレキセド500 mg/の併用療法を、21日間を1サイクルとして、最大6サイクル投与する群に無作為に割付けられました。投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。本試験の主要評価項目は、全無作為化集団におけるOSでした。主な副次評価項目は、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)および無増悪生存期間(PFS)でした。

悪性胸膜中皮腫について

 悪性胸膜中皮腫(MPM)は、胸腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍です。その発症原因は職業環境および生活環境から吸入した石綿(アスベスト)との関連が高く、石綿曝露から約30~50年という非常に長い期間を経て発症することが知られています。MPMは悪性度の高いがんであり、診断された時には、多くの患者ですでに進行または転移が認められます。MPMに対する標準治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われています。切除不能なMPM一次治療の患者には長期生存と持続的なベネフィットに対するアンメットニーズが残っています。今回の承認により、オプジーボとヤーボイの併用療法が台湾の悪性胸膜中皮腫の患者にとって新たな治療選択肢になるものと期待されています。

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、および2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」の承認を取得しました。
 また、尿路上皮がんおよび原発不明がんについて、効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市)は、2014年12月に当社の100%出資の現地法人として設立されました。オプジーボをはじめとする抗がん剤などの一部のスペシャリティー製品について自社販売を行っています。台湾市場において、当社製品のさらなる浸透に努め、自社で生み出した製品の開発、販売に取り組んでいます。