2021.04.12
研究開発

オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法が、第Ⅲ相CheckMate -816試験において切除可能な非小細胞肺がん患者に対して病理学的完全奏効を有意に改善

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年4月10日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年4月10日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法が、第Ⅲ相CheckMate -816試験において切除可能な非小細胞肺がん患者に対して病理学的完全奏効を有意に改善

  • 切除組織にがん細胞を認めなかった患者の割合は、オプジーボと化学療法の併用療法群で4分の1近くであったのに対し、化学療法群では2.2%でした。
  • オプジーボを含む治療法は、非小細胞肺がん、食道/胃食道接合部がん、膀胱がんおよび悪性黒色腫の4つの異なるがん腫の早期ステージがんを対象とした第Ⅲ相試験で肯定的な結果を示したことになります。
  • このデータは、2021年米国がん学会年次総会の臨床試験プレナリーセッションで口頭発表されます。

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年4月10日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)と化学療法を3サイクル投与する併用療法が、化学療法と比較して、切除可能なステージⅠbからⅢaの非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したCheckMate -816試験の結果を発表しました。本試験において、pCR率は術前にオプジーボと化学療法を受けた併用療法群で24%、化学療法群で2.2%でした[オッズ比(OR)13.94、99% 信頼区間(CI):3.49 - 55.75;p<0.0001]。pCRは、盲検下独立病理判定の評価による切除組織にがん細胞を認めない状態と定義されました。オプジーボと化学療法の併用療法の忍容性は良好であり、PD-L1発現レベル、組織型または病期にかかわらず、併用療法は一貫したpCRの改善を示しました。
 CheckMate -816試験は、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、免疫療法薬を含む併用療法が病理学的奏効の有意な改善を示した初めての無作為化第Ⅲ相試験です。これらのデータは、2021年米国がん学会(AACR)年次総会の臨床試験プレナリーセッションにて、2021年4月10日(土)午後12時30分~12時45分(東部夏時間)、口頭発表により初めて公表されます(抄録番号:#5218)。
 キュリー研究所、腫瘍内科教授兼部門長のNicolas Girard(M.D.)は、次のように述べています。「がんの早期ステージにおける治療の最終的な目標は再発を防ぐことで、私たちはこれらの患者さんの完治を目指して取り組んでいます。残念なことに、切除可能な非小細胞肺がん患者さんの半数以上が術後に再発を経験し、大勢の方が亡くなっています。CheckMate -816試験の病理学的完全奏効のデータは、切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として、ニボルマブと化学療法を併用する潜在的ベネフィットの初期の兆候を示しています。これらの有望な結果が、ひいては患者さんの無イベント生存期間や全生存期間の延長に結び付くことを期待しています。」
 オプジーボと化学療法の併用療法は、Major Pathological Response(MPR)を含む主な副次評価項目においても改善を示しました。オプジーボと化学療法の併用療法群では、化学療法群と比較して、4倍の患者がMPRを達成しました(併用療法群36.9% vs 化学療法群8.9%:OR 5.70、95% CI:3.16 - 10.26)。MPRは、術前補助療法後に残存した腫瘍細胞が10%以下であることを意味します。
 オプジーボと化学療法を3サイクル投与した併用療法の安全性プロファイルは忍容性があり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3~4の治療に関連する有害事象が、オプジーボと化学療法の併用療法群の34%、化学療法群の37%で報告されました。有害事象による手術のキャンセルはまれであり、影響を受けた患者数は、各群でそれぞれ2例のみでした。
 さらに、本試験では、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法を受けた群で、より多くの患者が手術を受けており(併用療法群83% vs 化学療法群75%)、オプジーボの追加が手術の実施可能性に影響しないことが示されました。また、オプジーボと化学療法の併用療法群では、化学療法群と比較して、より多くの患者で腫瘍が完全に切除(R0)されました(併用療法群83% vs 化学療法群78%)。手術に関連する有害事象の発現率は、両群で同等でした。
 ブリストル マイヤーズ スクイブの胸部がん領域開発担当バイスプレジデントであるAbderrahim Oukessou(M.D.)は、次のように述べています。「オプジーボを含む治療レジメンは、進行胸部がんにおいて持続的な生存ベネフィットを示してきました。そして今、CheckMate -816試験のデータによって、オプジーボと化学療法の併用療法が、非小細胞肺がんの早期段階において長期的な臨床予後を改善する可能性が示されています。CheckMate -816試験の現在の結果は、転移性疾患に進行する前のがんに対する免疫療法薬の使用が、医師にとって重要なツールになり得るというこれまでのエビデンスをさらに増強するものであり、現在までに、切除可能ながんを対象にオプジーボを評価した4つの第Ⅲ相試験で肯定的な結果が得られています。CheckMate -816試験にご参加いただいた患者さんおよび治験担当医師の皆様に感謝します。また、今後の結果により、オプジーボと化学療法の併用療法が、本試験のもうひとつの主要評価項目であり、当社が盲検性を維持している無イベント生存期間を改善する結果が得られることを期待しています。」
 より広範囲に関して、ブリストル マイヤーズ スクイブとパートナーは、早期のNSCLCを対象に、術前補助、術後補助および周術期段階における免疫療法薬の使用、ならびに化学放射線療法との併用療法について研究を進めています。術前補助段階における免疫療法薬の使用には、二重の科学的根拠があります。術前補助療法は、体に広がった未検知のがん細胞を治療する最も早期の機会であるとともに、腫瘍があるうちに免疫療法薬の治療を行うことで、より強い免疫応答を引き起こし、治療の効果を向上できる可能性があるためです。

CheckMate -816試験について

 CheckMate -816試験は、切除可能な非小細胞肺がん患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。一次解析には、患者358例が登録され、オプジーボ360 mgと組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法を3週間間隔で3回投与する群、またはプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与する群のいずれかに無作為に割り付けられ、その後、手術が施行されました。本試験の主要評価項目は、病理学的完全奏効(pCR)および無イベント生存期間(EFS)です。主要な副次評価項目は、全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)および死亡または遠隔転移までの期間です。

肺がんについて

 肺がんは、世界的にがんによる死亡の主な原因となっています。肺がんは、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます。非小細胞肺がん(NSCLC)は、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ84%を占めています。NSCLCと診断された患者の過半数(約60%)が非転移性疾患です。非転移性NSCLC患者の多くが手術で完治するものの、30%~55%が再発し、切除したにもかかわらずがんで亡くなられます。長期的なアウトカムを改善するために、手術前に投与(術前補助療法)および/または手術後に投与(術後補助療法)する治療選択肢が必要とされています。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

オプジーボの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comLinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、今後の試験結果が現在までの結果と一貫する可能性、オプジーボと化学療法の併用療法が本プレスリリースに記載された適応症の承認を現在想定している時期に受けられないまたは全く受けられない可能性、また承認された場合でも、そのような併用療法が本プレスリリースに記載された適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。