2021.02.26
研究開発

OPDIVO® 20mg、100mg Inj. 台湾において「併用療法による進行・再発の非小細胞肺がんのファーストライン治療」に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、当社)は、2月25日に、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)20mg、100mg Inj.」(以下、オプジーボ)について、以下の併用療法において「EGFRまたは ALK 遺伝子変異陰性の進行・再発の非小細胞肺がんのファーストライン治療」の効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

① オプジーボとヤーボイ*との併用療法(PD-L1 発現率が1%以上の患者)
② オプジーボとヤーボイおよびプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法
 * ヤーボイ:ヒト 型抗ヒト cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4(CTLA-4)モノクローナル抗体「YERVOYⓇ (一般名:イピリムマブ)点滴静注液」

 今回の承認は、当社とブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY、以下、BMS) が実施した以下の臨床試験の結果に基づいています。
 上記①: CheckMate-227試験(Part 1a):PD-L1発現レベルが1%以上の患者で、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、オプジーボ単剤療法、オプジーボとヤーボイの併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較した複数のパートで構成された多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験
 上記②: CheckMate -9LA試験:化学療法歴のない切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法にプラチナ製剤を含む2剤化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験

CheckMate-227 試験について

 本試験は、化学療法歴のない切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、オプジーボ単剤療法、オプジーボとヤーボイの併用療法又はオプジーボとプラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較した複数のパートで構成された多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。本試験は、以下の3つのパートより構成されています。

  • Part 1a: PD-L1発現レベルが1%以上の患者を対象にオプジーボとヤーボイの併用療法又はオプジーボ単剤療法の有効性及び安全性を検討
  • Part 1b: PD-L1発現レベルが1%未満の患者を対象にオプジーボとヤーボイの併用療法又はオプジーボとプラチナ製剤を含む2剤化学療法の併用療法の有効性及び安全性を検討
  • Part 2: PD-L1発現レベルにかかわらず、オプジーボとプラチナ製剤を含む2剤化学療法の併用療法の有効性及び安全性を検討

Part 1におけるオプジーボとヤーボイの併用療法では、オプジーボ3 mg/kg(2週間間隔)およびヤーボイ1 mg/kg(6週間間隔)が投与され、病勢進行または忍容できない毒性の発現が認められるまで最長24カ月間、継続投与されました。Part 1aの主要評価項目の一つは、PD-L1 発現レベルが 1%以上の患者における全生存期間(OS)でした。

CheckMate-9LA 試験について

 CheckMate-9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、化学療法歴のない切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、オプジーボ360 mg(3週間間隔)、ヤーボイ1 mg/kg(6週間間隔)にプラチナ製剤を含む2剤化学療法(3週間間隔で2サイクル)を追加した併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。併用療法群の患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間投与されました。対照群の患者は、病勢進行または毒性が認められるまで、最大4サイクルの化学療法および(適格であれば)ペメトレキセドによる維持療法を任意で施行しました。本試験の主要評価項目は、Intent-to-treat(ITT)集団でのOSでした。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)およびバイオマーカーに基づく有効性判定でした。

肺がんについて

 肺がんは、気管、気管支および肺胞の細胞が悪性化した腫瘍であると考えられています。肺がんは、組織型によって小細胞肺がんと非小細胞肺がん(NSCLC)の 2 種類に分類されます。NSCLC は、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、肺がんの約80-85%を占めています(1)。さらに、 NSCLCは腺がん(肺がんの40%)、扁平上皮がん(同25%)、大細胞がん(同10%)などに分類されます(2) 。肺がんは、台湾では年間約1.6万人(3)が新たに診断されています。肺がんによる死亡者数は、台湾では年間約9千人(3)と推定されており、がんによる死亡原因の第1位となっています。生存率は、診断された際の進行度(ステー ジ)とがんの種類によって異なります。転移性肺がんと診断された患者の5年生存率は約5%です。

 台湾小野は、オプジーボがより適正に使用されるために、安全性および有効性に関する臨床データを集積して、必要な措置を講じていきます。なお、台湾においては、2014年7月に当社とBMSが締結した戦略的提携関係に基づき、台湾小野と台湾BMSが共同で販売を促進しています。

 

 

OPDIVO® 20mg、100mg Inj.の概要

製剤名 OPDIVO® 20mg、100mg Inj.
一般名 ニボルマブ
効能又は効果
  1. 切除不能または転移性の悪性黒色腫
    単剤療法またはイピリムマブとの併用療法として、切除不能または転移性の悪性黒色腫
  2. 悪性黒色腫の術後補助療法
    根治切除後のリンパ節転移を伴うまたは転移性悪性黒色腫の術後補助療法
  3. 非小細胞肺がん
    3.1 イピリムマブとの併用による、PD-L1発現率が1%以上で、EGFRまたはALK遺伝子変異陰性の進行・再発の非小細胞肺がんの成人患者のファーストライン治療
    3.2 イピリムマブおよびプラチナ製剤を含む化学療法2サイクルとの併用による、EGFRまたはALK遺伝子変異陰性の進行・再発の非小細胞肺がんの成人患者のファーストライン治療
    3.3
     プラチナ製剤による化学療法の治療中または治療後に病勢進行が認められた進行非小細胞肺がん。腫瘍においてEGFR またはALK の遺伝子異常を有する場合は、EGFRまたはALK阻害剤による治療後に病勢進行が認められている必要がある。
  4. 進行腎細胞がん
    4.1 血管新生阻害薬の治療歴を有する進行腎細胞がん
    4.2 イピリムマブとの併用療法として、未治療の中および高リスクの進行腎細胞がん
  5. 頭頸部扁平上皮がん
    プラチナ製剤による治療中または治療後に病勢進行が認められた再発または転移性頭頸部扁平上皮がん
  6. 古典的ホジキンリンパ腫
    自家造血幹細胞移植(自家HSCT)およびブレンツキシマブベドチンによる治療後、または自家HSCTを含む3レジメン以上の全身療法後に再発または進行した成人の古典的ホジキンリンパ腫
  7. 尿路上皮がん
    プラチナ製剤を含む前治療に不応であった局所進行の切除不能または転移性尿路上皮がん
  8. 切除不能な進行または再発の胃がん
    2レジメン以上の化学療法後の進行または再発の胃がんまたは食道胃接合部(GEJ)がん
  9. 肝細胞がん
    ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん
  10. 転移性結腸・直腸がん
    単剤療法またはイピリムマブとの併用療法として、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行した成人の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性結腸・直腸がん(CRC)
  11. 食道扁平上皮がん
    フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む併用療法後に病勢進行が認められた根治切除不能な進行または再発の食道扁平上皮がん
用法及び用量

<単剤療法>

  1. 悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、古典的ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん、胃がん、肝細胞がん、結腸・直腸がん
    オプジーボ単剤療法として、3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は最長で1年までとする。
  2. 食道扁平上皮がん
    オプジーボとして、240 mgを2週間間隔で点滴静注する。

<併用療法>

  1. 悪性黒色腫
    イピリムマブとの併用療法として、3週間間隔で4回、オプジーボ1 mg/kgを点滴静注した後、同日イピリムマブ3 mg/kgを90分以上かけて点滴静注する。その後、オプジーボ3 mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。
  2. 非小細胞肺がん
    イピリムマブ併用療法として、オプジーボ3 mg/kgを2週間間隔で、イピリムマブ1 mg/kgを6週間間隔で点滴静注する。投与期間は、最長で2年までとする。
    イピリムマブおよびプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法として、オプジーボ360 mgを3週間間隔で、イピリムマブ1 mg/kgを6週間間隔で、プラチナ製剤を含む化学療法2サイクルを3週間間隔で点滴静注する。投与期間は、最長で2年までとする。
  3. 腎細胞がん、結腸・直腸がん
    イピリムマブとの併用療法として、3週間間隔で4回、オプジーボ3 mg/kgを点滴静注した後、同日イピリムマブ 1 mg/kgを点滴静注する。その後、オプジーボ3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する。

※特に記載がない限り、オプジーボおよびイピリムマブは30分以上かけて点滴静注する。

承認取得日 2021年2月25日
製造元 小野薬品工業株式会社
輸入販売元 台灣小野藥品工業股份有限公司
販売提携 Bristol-Myers Squibb (Taiwan) Ltd.

今回の追加承認による改訂箇所は下線で表示

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市)は、2014年12月に当社の100%出資の子会社として設立しました。オプジーボをはじめとする抗がん剤などの一部のスペシャリティー製品について自社販売を行っています。台湾市場において、当社製品のさらなる浸透に努め、自社で生み出した製品の開発、販売に取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、2018年8月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫、および2020年2月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん、およびがん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんの承認を取得しました。
 また、食道胃接合部がん、肝細胞がん、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。