創薬方針

真に患者さんのためになる医薬品を開発して社会に貢献する

当社は、「真に患者さんのためになる医薬品を開発して社会に貢献する」ことを目指し、これまでに克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。

重点領域のオープンイノベーションを推進し、医療ニーズを満たす画期的新薬の創製を目指す

当社は、医療ニーズの高いがん、免疫、神経およびスペシャリティ領域を重点領域に定め、それぞれの領域でヒト疾患バイオロジーを掘り下げ、医療ニーズを満たし得る新薬の創製を目指して、創薬力の強化に努めています。特に、当社が得意とするオープンイノベーションを積極的に推進することにより、インフォマティクスやロボティクス、ゲノム編集などの先進テクノロジーを活用し、独自の創薬シーズに対して低分子化合物や抗体、細胞などから最適なモダリティ(治療手段)を選択することで、医療インパクトのある画期的新薬の創製を目指しています。さらに、デジタル技術を活用することで創薬研究の質とスピードの向上にも取り組んでいます。
2023年6月時点で、重点領域において10個の新薬候補化合物が臨床ステージに移行しており、今後さらに創薬のスピードと成功確率を向上させるために、基礎と臨床の橋渡しを担うトランスレーショナル研究も強化しています。研究早期段階からヒトゲノム情報やヒトiPS細胞などの研究ツールとインフォマティクスを有機的に活用することで、標的分子の疾患との関連性を解析し、新薬候補化合物のヒトにおける有効性をより正確に予測・評価できるバイオマーカーを見出せるよう努めています。

創薬方針

オープンイノベーション

当社は、1960年代から、プロスタグランジンの創薬研究において、大学など研究機関との提携を通じて新たな創薬シーズを見出し、そのシーズを出発点として画期的な新薬の創製につなげてきました。これは、米国ハーバード大学のヘンリー・チェスブロウ教授がオープンイノベーションの概念を提唱した2003年よりも30年以上前のことです。
現在も、探索研究提携部・事業開発部が各研究センターや開発本部などと連携して、重点領域を中心に世界トップクラスの研究者との共同研究やバイオベンチャーとの創薬提携および積極的な化合物ライセンス活動を行っています。他社に先駆けて最先端の研究情報を掴み、その情報をもとに素早く創薬を進めるには、スピード感を持った提携活動が重要になります。そのため、創薬研究の現場で経験を積んだ研究員が米国・英国の現地法人にそれぞれ駐在し、世界をリードする欧米の研究者やバイオベンチャーを訪問して新たな提携を立ち上げています。

疾患専門性を強化

創薬研究においては、がん、免疫、神経、スペシャリティの4つを重点領域として取り組んでいます。これらの重点領域ごとに設置した、オンコロジー研究センター、イムノロジー研究センター、ニューロロジー研究センター、スペシャリティ研究センターでそれぞれの疾患ノウハウを蓄積し、治療満足度が低く医療ニーズが高い疾患の治療薬の創製に挑戦しています。

重点領域

主な取り組み

がん

腫瘍免疫のパイオニアとして、免疫チェックポイント阻害剤オプジーボの研究開発で培ってきた経験や技術・ノウハウを活かし、第二、第三のオプジーボとなる画期的な抗がん剤創製を目指しています。オープンイノベーションやトランスレーショナル研究を通じて、独創的な創薬シーズの探索にも取り組んでいます。また、新しい創薬モダリティの利用にも挑戦しています。

免疫

オプジーボを生み出す土壌にもなった免疫研究を長年継続してきた経験を活かし、バイオ医薬を主軸に据えた創薬研究に取り組んでいます。自己免疫疾患やアレルギー疾患に対する画期的新薬の創製に挑戦しています。

神経

神経系を構成する神経細胞と、その生存や機能発現のために必要な環境の維持と支援に寄与しているグリア細胞に着目した研究に取り組んでいます。神経変性疾患や、精神疾患、慢性疼痛の患者さんのための、対症療法だけでなく根治療法となる革新的な医薬品の創製を目指しています。

スペシャリティ

適応疾患にとらわれず、アンメットニーズの高い疾患に対して、医療インパクトがあり、臨床的に価値のある医薬品の創製を目指しています。患者さん、医療従事者、社会における真の医療ニーズを的確に捉え、独自性の高い創薬に挑戦しています。